情報技術による格差解消と経済成長のためのHirano market modelの概要

一般の方向けの概要 2022/8/20-

平野 聡 工学博士、ピース・アンド・パッション

モデルというのは、理論を組み立てる時の模型のようなものです。Hirano market modelは格差問題を解消する仮説段階の理論です。「安い」と書いてあるのは、実際の買い物では安いことも高いこともあるが、これが十分に普及すれば、大体の傾向としては安くなるだろうという予測を表しています。

未来に向けて貴重な挑戦です。まだ問題は多々ありますが、前に向かって進みます。ご意見やご質問がありましたら、(記事やブログで批判するのではなく)まず、私にメールでお知らせください

ITによる「べき乗則」が生活に入り込み、給料を下げている

日本では企業数の99%を中小企業が占めていて、売上高5千万円以下の中小企業は平均してほぼ赤字です。給料を上げる余力がありません。

必要なのは、中小企業の売上をアップする仕組みです。中小企業の売上を上げれば、給料が増えて購買力が上がるので、経済全体が成長します。中流層が分厚くなり、みんなの給料も国や自治体の税収も増えます。教育や支援が必要な人のための財源が得られます。

Googleのクリック率

さて、私たちは、家の近くで買える食品や日常品以外の、ほぼ全ての買い物で、まず検索をして製品やお店を探しますね。

ネットショップや検索システムは、価格、レビューの数や評価点数の順で結果を表示します。性能上、データベースに入れてある順序で表示せざるを得ないので、何らかのランキング順になってしまいます。

上の図はGoogle検索の結果のページの20位までのクリック率のランキングです。直感と違って極端な右下がりで、直線ではありません。

購入者(購入を希望する人)は、ランキングの上位から順に、納得するまで調査をします。7位以下は3%未満ですから、ほとんどの人が6位までの間で調べていることがわかります。

評価やレビュー数の人気ランキングにおいて上位の販売者や製品には注文が集中するので、ブランド力がついて高く売ることができます。利益を検索順位や評価点数の向上に再投資するので、売上は複利で増えます。

下位は、たとえ良い製品やサービスを用意しても、見てももらえないので売れません。安くするしかなく、従業員の人件費を削って値下げ競争をするデフレの悪循環です。

強いものはより強く、弱いものはより弱く。私たちはランキング地獄で死につつあります。

このグラフのような構造を「べき乗則」といい、ざまざまな社会現象や自然現象で見られます。80対20の法則もそのひとつです。ランキングを作って下位に広告を販売するビジネスが大いに繁盛しています。

「見えざるそよ風」でべき乗則を超越する

べき乗則に束縛されないために、ランドにはランキングがありません。自分で調べなくても、販売者が目的に合う物を提案してくれます。

購入者Aさんがリクエストに、たとえば、「自宅の外壁の塗装工事をお願い。3社(1〜6から選ぶ)と相談がしたい」と書けば、3社までの塗装工事店(販売者)が目的に合う物をいろいろと提案してくれます。中古車を買う場合でも、ピアノの先生を探す場合でも同様です。提案から気に入ったものを選んで購入。簡単です。

Bさんは、平均的な中小企業である塗装工事店の営業です。Bさんは、リクエストを読んで、販売をしたい場合はエントリーするのですが、自分で決めたエントリー手数料を払います。ゼロ円もOKです。リクエストランド(ランド)はエントリー手数料に応じた確率で、指定された3社までの販売者を選択します。Bさんは、選択されたら、Aさんに合う提案をして販売します。

確率は、コストがゼロで世界の隅々まで届く「見えざるそよ風」で、人間活動のべき乗則を超越しています。過剰な競争は緩和されます。

Googleのクリック率

人気ランキングで買うよりも安く買える

販売価格は下部のグラフにあります。人気ランキング上位の販売者にブランド力がつく商品では、上位は高く、下位は安い、右下がりの曲線です。

例えば、人と同じものを買えば安心だと思っていたAさんは、かつてならばランキングの上位から高い価格、例えば40万円で買ったでしょう。今回は、3社の提案のうち、平均的な販売者のBさんが勧めてくれた商品が「自分の目的に合う」ことがわかったので、もっと安い価格、例えば35万円で買うことができました。

個別には高いこともありますが、一般的な傾向として、このように人気ランキングの上位から選ぶよりも購入価格は下がります。

家電のような最低価格のランキングの場合、販売者に提案してもらうと人件費がかかるため、無人のネット販売の最安値よりは高くなります。提案によって良いものが買える、時間が節約できる、その時間で得られる収入や休息と比較してメリットがあるとなれば買うことになるでしょう。

リクエストには、リクエスト数と購入数が表示されるため、販売者としては、買うことが多い人には丁寧な相談をして、相談だけして買わない人にはエントリーしないでしょう。ですから、家電のように価格がわかっているものをとにかく安く買いたい場合は、最初からバンバンボードを使って自分で調べるほうがいいです。

買ったものをフリマで売って、また買い直す羽目になることが多い場合も、リクエストでアドバイスをもらって買った方が失敗を防げて、結局は安く済むでしょう。

多くの販売者の給料は上がり、経済は成長する

Aさんが従来通りランキングで買ったとすると、平均的なBさんのランキング順位は10位なので、Aさんからクリックしてもらえる可能性は1.01%。販売の可能性も1%程度でしょう。

ランドの場合、20の販売者が同じ手数料でエントリーしたとすると、20社から同じ確率で3社を選択しますから、15%の可能性で提案をすることができます。提案の可能性は15倍アップです。商品知識を活かして提案という価値をつけられます。

そして、Bさんは15%の3分の1の確率、つまり5%で販売ができます。販売可能性は1%から5%へ、5倍増えました。

ここで、買う人は今までより安く買えるのに、販売する会社は同じ価格のままでも売上が増える現象が起きています。

販売によって付加価値が増えれば生産性が上がります。賃金の水準は生産性に沿って変わるので、生産性が上がれば給料が増えます*1

10社がエントリーするなら販売確率は10%なので、1%の10倍です。3位の販売者まではクリック率10%以下なので利得があります。もっと上位でも、高額な広告費を使って上位を維持している場合、広告費をランドの手数料に移せば利益が増える可能性があります。

会社の規模が大きいほど、会議に時間を費やしたり立派な本社を構えているので、生産性は下がります(収穫低減)。同じ価格の商品の販売で得られる付加価値は、上位の販売者(大きい企業)より下位(小さい企業)の方が大きいため、下位が売れば付加価値の総計(GDP)は増えて、経済は成長します。

ランドでは地図にリクエストを置きます。近くで適切なお店を探すことができますから、地域でお金が回ります。企業は、売上が増えると雇用を増やします。

最安値を追求する場合には、バンバンボードを使って最初から自分で調査してください。リクエストは、少しでも安く買うことが目的ではなく、過剰な競争を緩和して、みんなの収入を増やすことが目的です。良心的な販売者は、安く買い叩かれる場には参入しません。

効率が良く、コストが小さい

たとえば動画サイトを見ていると、広告が表示されます。広告に興味を持ってクリックする人は1%くらいで、99%の人にとっては邪魔。欲しくない人の時間を消費します。販売者にとってネット広告を出す料金は驚くほど高いですが、止めれば売上が下がってしまいます。

ランドでは欲しい人だけがリクエストを書くので、購入者にも販売者にも無駄がなく、費用対効果が高いです。販売コストを抑えることができます。

ランドが大きな利益を上げると類似の市場が現れます。購入者が複数の市場でリクエストを書くと3社に限定する仕組みが壊れてしまい、格差の解消ができなくなります。ですから、類似の市場を作らないようにお願いします。ランドは米国と日本の特許で保護されています。また、利益を目的とせず、利益最小化アルゴリズムで動作します。費用を抑えて、大学の学生寮の隣にある学生アパートで活動をしています。

適切な競争で進歩を促しつつ過剰な競争を緩和する、みんなの収入が増えて豊かになる、Hirano market modelはそういう市場モデルです。

*1 一般に、賃金の水準は、働く人の生産性と、経営者が判断する分配率で決まります。例えば、あなたが社長だとして社員を一人増やすかどうか考えるとすると、求める社員の力量と賃金の相場からして、売上や利益にどれくらい貢献してくれるか(付加価値の生産性)を考えます。マイナスになるんだったら雇えないし、うんとプラスになるんだったら、それなりの賃金を払わないといけません。社員は転職できるので、社長も相場とかけ離れた賃金水準にはできません。多くの国ではそうなのですが、デフレが続く日本は生産性が上がっても賃金水準が上がらない傾向があるため、ランドの目標で、経営者には、ランドで恩恵を被ったら給料を上げるように求めています。売上高5千万円以下の中小企業(労働人口で18%程度)は平均して赤字基調で賃上げの原資がないため、そこの売上を底上げするだけでも格差の解消にはかなり寄与すると考えています。